本書は高校生向けの統計学の入門書です。
統計学は、数学では「確率・統計」として、情報では「データサイエンス」として導入されています。
数学では数理に重きがおかれ、情報では活用に重きがおかれています。この間を埋めようというのが本書の目的です。
統計学は微積分や線形代数など大学で学ぶ数学を必要とするため高校では本格的には取り入れられていませんでした。しかし近年、データサイエンスの必要性が高まり、高校の学習に統計学の内容が入ってきました。これには、ICTの普及で高校生がパソコンを日常的に使用することが可能となり、シミュレーションを用いた実証的な学習が可能になったことが背景にあります。また特別なソフトをインストールしなくても、Google Colab ではPythonやRを用いてシミュレーションができます。本書では統計で使われることの多い R を使用しています。
本書のねらいは、理解の難しいところを乱数シミュレーションで補い、体験的に理解することです。シミュレーションにより定理や公式の発見を追体験できることも魅力です。自分で体験し納得することが重要なのです。本書のコードをGoogle Notebookで実行し、シミュレーションを体験してください。Rなどのプログラミングは自動車の運転のようなものです。はじめは初心者マークでも、慣れてくると運転が楽しくなります。いろんなところへ行ってみたくなります。この好奇心こそが探求的学びといえるでしょう。コードは、拙サイト「ひょっこり統計」で公開する予定です。
乱数でデータを生成し、Rで確かめながら学習する。
シミュレーションによる体験的学習を、筆者は「ひょっこり方式」と呼んでいます。これは統計学の学習方法における、新しいパラダイムといえるでしょう。
初めは正規乱数を中心に扱います。
乱数を出力.
ヒストグラムの描画.
理論分布のグラフ.
この流れで確率分布の理解を深めましょう。